2013/09/16

台風18号・・・

台風18号が通り過ぎました.
娘が宝塚を見に行くというので、阪急の桂駅まで送りました.その後、京都山城総合医療センターへ行くにあたり、大変な事になっておりました。



上の写真、桂川ですが、あと20cmくらいであふれそうです。
下の写真、また流れた「流れ橋」です。

桂から、2時間くらいかかったかな・・・

2013/09/15

第22回日本コンピュータ外科学会・・・

第22回日本コンピュータ外科学会で発表してきました.

コンピュータと外科の世界の融合した学会であります.外科医(整形外科、脳外科、消化器外科、呼吸器外科など)と工学部のロボットやシミュレーションを得意とする研究者の会であります.

私は、てれカン!の話をしてきました.離れたところからVPNでサーバーへ接続し、音声通信をしながら、双方向に医療画像を閲覧できるシステムについての口演でした。

場所は東京大学。赤門もくぐりましたよ!




2013/09/04

胸膜癒着療法(疼痛管理)・・・

胸膜癒着療法のさらに補足です.実際に治療を受けられる方がおられましたら、ご参考にしてください。

肺切除術後のリークに対して、胸膜癒着療法は、リークの期間を短縮する効果があると考えられています.

しかし、いきなり「熱が出ますよ」とか、「かなりいたいですよ」と言われると、言われた患者の方は不安が強くなる事も事実であります.

リークが長引きそうな時は、前日位から、少しずつ説明しています.
「なかなかリークが止まりませんが、必ず止まりますから心配入りません。」
「リークが少しでも早く止まるように、お薬を注入する事を考えています.」
「お薬で炎症を起こすので、痛みや発熱があります。」
など、朝から夕方にかけて、話をして行いくようにしています.
最終的には、夕食の頃、「明日の朝に止まっていなければ、お薬を入れようと思います」と話をしています.

(1)痛みについて
胸膜癒着療法では、刺激になるような物質を、胸腔内に注入して炎症を起こさせて、治癒を促進して行く物という考え方です。炎症がおこる訳ですから、発熱と疼痛(痛み)はある程度、想定して治療に望みます.

(2)注入薬(ミノマイシンまたはピシバニール+1%キシロカイン10mL+生食50mL)
ミノマイシン、ピシバニールのどちらを使うにしても、同時に局所麻酔薬のキシロカインを混ぜています.

(3)痛みに関して
ミノマイシンを使用した場合、薬剤を注入した後、胸腔に広がるに連れて痛みが出る事が多いです.すなわち、注入直後の数分以内にでます。この痛みは、注入液に混ぜておいた局所麻酔薬が効いてくるまでの数分つづきますが、辛抱できないほどの痛みではない事が多いです.
ピシバニールでは、ほとんど痛みは無いようです.

(4)発熱に関して
癒着療法の効果として、発熱がある方が炎症が強く起きたと考えられます.
ミノマイシンで38度くらいまで、ピシバニールで39度くらいまでの発熱がある印象です.

ピシバニールの方が発熱が強いが痛みは少ないという印象があります(個人的感想)。

以前の書き込み、
胸膜癒着療法・・・
胸膜癒着療法(補足)・・・
もご参照ください.

2013/09/03

胸膜癒着療法(補足)・・・

私のブログの中で、胸膜癒着療法へのアクセスが最も多いようです.
医療従事者以外にも、案外、気胸の患者さんもアクセスいただいているのでしょうかと推測しています.追加・補充のコメントをのせておきます.

肺の手術にあたっての合併症で、最も多いのは、術後のエアリークでありましょう.

この数年来、内視鏡手術全盛となり、全例で自動縫合器を使用して、病変部を切除するようになっています。

しかしながら、自動縫合器で綺麗に切離しても、また、術直後にリークを認めていなくても、おくれてリークが出ることがあるのが現実であります.

エアリークの無い手術を理想としていますが、個々人の肺・胸膜の違い、切離線の違い、複数個使用したときの重なり部分の違いなどから、やはり、「肺の手術に空気漏れはつきもの・・・」と感じております.

さて、術後のリークは、胸腔ドレナージチューブを抜けないということですら、退院までの日数がそれだけ延びるということであります.

当院における術後のドレーン管理について記載します.ご意見ございましたら、よろしくお願いします.

(1)術後の低圧吸引圧は-10cmH2Oを維持します.

(2)リークが無ければ、排液量200mL/dayを基準にドレーン抜去します.

(3)術後4日目の朝になってもリークが残っている場合。癒着療法を行います.
 ミノマイシン 200mg + 1%キシロカイン(10ml) + 生理食塩水50mlを点滴セットにつめて、胸腔ドレナージのチューブから胸腔内へ点滴滴下します.チューブを高くあげ、注入液が落ちないようにしつつ、患者には深呼吸を繰り返し行わせ、液が胸腔内に入って行くようにします。ミノマイシンが入って行くに従い、痛みを訴えることがありますが、キシロカインが効いてきますので、じっとまちます。非常にまれにショック症状を来すこともあると聞いていますので、患者の状態をしっかりと観察することが大切です.
 その後は、15分ごとに体位変換、左側臥位、右側臥位、伏臥位、仰臥位を繰り返し、2時間で終了です.排液は夕方くらいまでは積極的に抜かないように、チューブは高くしておいています.
 発熱は38℃くらいまで。水分補給、場合によっては点滴をしています.
 ピシバニールでも行う事がありますが、良性疾患には適応がありませんので、肺癌以外ではミノマイシンを使用しています.

(4)感染予防に内服の抗生物質を追加します。患者のタンパク質などの栄養状態の改善を進めます.アミノ酸製剤の点滴を続けています.カロリーが足りなければ脂肪製剤も投入します.

血液凝固因子の第13因子の測定も行っておきます(外注検査です)。個々数年、フィブロガミンを使用する症例は減ってきている印象がありますね.

(5)術後7日目になっても止まらなければ再度癒着療法を行います.

(6)術後9日目になってもリークがある場合、長期戦を覚悟しつつ、胸腔造影を行います.チューブからウログラフィン20ml/Aを2A注入しつつ、リークの部位を探します.息を吸ったときにリークの泡が見えればよいですが、見つからない事もあります.

(7)手術術式、リークの量を考えながら、再々の癒着療法、場合によっては、フィブリノゲン製剤の局所散布を考慮します.

胸部外科学会の学術調査書、手術術式、合併症などを毎年報告する義務があるのですが、2週間を超えるリークは、合併症になります.
私の経験では、17日というのが1例ありますが、それ以外で2週間を超えた症例はないです。

肺切除、リーク”ゼロ”は夢であります。