2016/09/16

パルスオキシメーター

パルスオキシメーターをご存知でしょうか。



写真のように、指の先を差し込んで使用します。
ヘモグロビンの酸素飽和度を測定するための装置です。
一応、医療機器に登録されていますが、アマゾンで売ってます。
以前のものが壊れたので、新規に購入しました。

皆さんは、呼吸器外科の医師が、日常診療で使用するものとして、何を思い浮かべますか?もちろん、外科医師なので、メスや手術機器は使用しますが、病棟や外来で患者さんを診察する時、手元にあると便利なのが、パルスオキシメーターです。

赤血球が酸素を運ぶということは、中学生の理科で習ったことがあると思います。?赤血球の中にはヘモグロビンというタンパク質があり、これが酸素と結合して、細胞まで流れていき、酸素との結合を解いて、細胞へ酸素を供給する仕組みになっています。

指で簡易的に測定できるので、非常に簡単です。私は98%ですが、もっと若い人は99%あるかもしれないです。ご高齢の方は、97%のこともあります。この機械の性能上100%は出ないようになっているようです。

血液が肺を通って、ヘモグロビンが酸素と結合して、100%の酸素飽和度となります。全身を回って、心臓に帰ってくると、酸素飽和度は80%くらいに低下します。結合した酸素の20%くらいが全身で消費されたということであります。

病気の方、手術後の方は95%くらいにさがります。

さらに肺の病気が進行すると、90%を切るくらいまで下がることもあります。
酸素吸入が必要になります。
一般的に、入院中は、最低でも94 -  95%を目標に酸素投与していますが、回復するにしたがって、酸素は不要になっていきます。

アマゾンで購入できて、かなり多くの人がレビューを書いているのには驚きました。COPDの方や小児の喘息の方に使用していることが多いようです。
一家に一台とは言いませんが、聴診器を当てるよりも、酸素飽和度の方が客観的に状態を把握できるのではないかとも思ってしまいます。

今後の、診察においては、聴診器とパルスオキシメーターが必須のように思います。





 8千円から1万5千円くらいの価格設定でした。私はシリコンカバーの付いているものを選びました。




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2016/05/14

呼吸器外科学会(京都)

日本呼吸器外科学会へ参加しました。

発表演題を見ていると、日本の呼吸器外科領域の関心ごとがよくわかります。ビデオセッションでは、拡大手術・リンパ節郭清などの演題が多いようです。

私の演題は、
「呼吸器外科術前の禁煙指導について」
と題して、京都山城総合医療センターの結果を提示しました。

一人でやっていると、いろいろなことをしなければなりません。
術前の禁煙指導もそうです。

4週間程度の禁煙期間を置かないと、痰が増えるなどの有害事象から、呼吸器関連の合併症が増加するというデータがあります。

当院では、禁煙を守れず、当日の朝まで喫煙したため、手術延期としたこともありました。そこで、患者さんが、楽に禁煙できるようにと考え、禁煙外来を広めてきました。

外来受診時に、喫煙者である患者には、喫煙が肺がんのリスクを上げること、周術期の合併症を増やすリスクが上がること、今後の治療においても、呼吸苦などの原因になり得ることを説明し、手術前からの禁煙するように指導しています。

簡単に、「わかりました・・・」というのですが、自宅で一人で禁煙するのは楽ではないはずです。そこで、禁煙外来で、お薬を使って楽に止めれますよと説明するのです、断られることが多いのが現状です。2週間後に再度外来へ来させるのですが、やめてます、ときっぱり言っているので、「手術を受ける」ということが、かなりの禁煙開始の動機になるということは確かなようです。


2016/05/02

Single Port VATSについて・・・

前回の記事でも書きましたが、Single Port VATSのこと。

入念に準備を行いました。

まずは、部分切除の症例から。
そして、手順については大学のSJ先生と入念に打ち合わせ。
文献、動画も貪るように読みました。

一つの創から、内視鏡、鉗子、自動縫合器を入れて、視野を確保しなければなりません。

器具が喧嘩しないように(英語では、fencingフェンシングと言うようです)、段取りします。

肝心なところはハレーションしてますが、
3本の機器が挿入されているところが見えますでしょうか。
部分切除ですが、手術時間59分、出血8gです。
いままでのThree port VATSと変わりないです。

術後、創部が1カ所であるメリットは、痛みが圧倒的に少ないことです。

症例・経験を増やして、さらなる低侵襲手術を進めていきたいです。


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2016/04/10

アジア胸部外科学会(台北・台湾)で発表しました・・・

Asian Society of Cardiovascular and Thoracic Surgery の学術総会が台湾・台北で4月6日から10日まで開かれました。英語で発表、呼吸器外科領域のアジアでの現状について知見を深めることができました。



まず、私の発表について。

今までの遠隔画像カンファレンスは、比較的近距離(近畿圏内、京都府内)で行われていました。およそ50kmの範囲にとどまっていました。

これを、外国で行ったときにどうなるか、という経験を発表しました。

テレビを見ていて、外国とのライブ中継の時、音声が遅れるため、会話がギクシャクしたりする、ずれてしまうというい場面を見たことがあると思います。
我々の遠隔画像カンファレンスを外国と結んで行った時、どの程度の遅延があるのか、実際にCT画像をコントロールできるのかなどについて、興味がありました。

2000kmはなれた京都ー台南で遠隔カンファレンスを行いましたが、京都で行っているのと同じような操作感覚でありました。自分のMacで京都のサーバーを遠隔操作するのですが、CT読影の時の、画面のスクロールの感覚は、京都でしているのと変わりない印象でありました。
当たり前のことではありますが、距離が離れていても、高速ネットワークでつながれていれば、大量のデータを送受信可能となり、遅延も少ないのであろうと結論いたしました。

つづいて、Single Port VATSについて。

今回、Single port VATS symposiumという会が合わせて行われていました。
そのなかで、LIVE手術の企画がありました。
中国大陸の北京、上海、広州、などの5施設から、ライブ手術の映像を届けていただきました。10数年前、日本でも行われていたのですが、呼吸器外科領域では、学会がストップをかけたような形になり、公式の場で公開されることはありませんでした。

我々の施設では、3カ所の創をつくり、内視鏡、手術機器、自動縫合器をいれて手術を行っています。これを、わずか4,5cmの1カ所の創でやるというものでありました。

実際の手技を見たのは初めてで、スムーズな手技で短時間かつ出血量が少ない手術をLIVEで見たのですから、外科医魂(?)が騒ぎました。

これは、自院でも応用せねばなるまい。そう誓って帰国したのでありました。


2016/03/24

お医者さんと禁煙!!!

禁煙外来、山城医療センターでも行っています。

平成28年4月から、実質、年齢の制限なく、健康保険の3割負担で禁煙外来を受診できるようになります。

父・母と一緒の禁煙指導というのは未経験ですが、将来のある若い世代への保険適応は、正直嬉しいところであります。

ニコチン依存症の診断、直ちにやめたいと思っていること、1日の本数 X 喫煙年数が200以上(1日20本 X 10年が目安)、文書により同意したもの。

という制限があり、中でも問題となっていたのは、「1日の本数 X 喫煙年数が200以上」という項目です。

20代の若いひとが禁煙外来を受診するためには、1日に40本(2箱!)を5年などの、重度喫煙でなければ保険を利用して3割負担での治療ができませんでした。

平成28年4月からは35歳未満の喫煙者については、この制限が外されました。

新年度を機会に、禁煙!と決意するだけです。
その決意をサポートさせてください。

禁煙学会のページをご参考に。

2016/02/09

京都府 生命のがん教育推進プロジェクト・・・

京都府が主体となって、がんについて広報する一環として、低年齢層にがんを知ってもらうためのプロジェクトでございます。京都府健康福祉部・健康対策課のT氏(以前、京都府立医科大学で研究支援もいただきました)が担当されています。

みなさんも、新聞、テレビなどでご存知かと思いますが、日本人の2人に1人はがんにかかります。身近な病気であること、そして、死亡数が増加しつつある病気であることをふまえて、小学校の高学年、中学生に勉強してもらおうという趣旨でございます。

ご縁があり、今回は京都山城総合医療センターから、私が出張授業に寄せてもらいました。

本日、京都府南部の小学校に寄せてもらい、小学校5年生に、がんについて、わかりやすく(?)話してきました。中でも、たばこのこと、吸ってはいけないよと強調してきました。「吸いたいと思う人はいますか?」と尋ねてみましたが、1人もいませんでした。一方、ご両親のどちらかが喫煙しているのは半数を超えて手が上がっていました。これを機会に、お子さんから、言われて、やめようと思ってくれる人が「禁煙外来」の門を叩いてくれることを祈ってます。



この授業の後半は、がんの体験を語っていただきました。体験者の生の声、真剣な眼差して聞いていました。

校長先生とも少し話をさせていただきました。田舎の小学校とはおっしゃってられましたが、児童は元気いっぱいで、朝から校庭でサッカーなどの運動をしていることや、家に帰ったら、きっと今日の事を話しますよなど、一人一人の児童のことを把握しておられるようで、感服いたしました。

この機会をいただき、写真を撮っていただいたT氏に感謝申し上げます。機会を頂ければ、もう少しうまく話せるかと思い、もう一度話をしてみたいと思うのでありました。

今日は、5年生の児童に元気をいっぱいいただきました。いつの日か、そんな話も聞いたことがあると思い出してもらえればうれしいです。ありがとうございました。


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2016/02/04

内視鏡手術手技シミュレーター・・・

内視鏡手術が広く行われるようになってきています。

しかし、イキナリやってもうまくいかないことでもあります。

合成の皮膚を縫合する練習。

シミュレーターということでお借りしました。

簡易的にビデオカメラとモニターを設置して、皮膚を貫くポートという器具で皮膚を貫いていると仮定しています。
モニターだけを見ながら、左右の手で持った内視鏡手術用の鉗子で練習してみます。

体腔内で縫合することはほとんどないのですが、研修医の先生のチャレンジとなっています。

その他、結紮(糸を結ぶこと)、輪投げなどで感覚を養ってもらいます。

Hand-eye coordinationといいます。手と目の協調というのでしょうか、少しずつ、2次元の世界で3次元の動きを習得することが可能です。
海外では、Nintendo Surgeryとも言われます。


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2016/02/02

病理の切り出し・・・

みなさん、こんばんは。

今日は、病理の標本についてです。

手術で摘出した臓器の記録、組織診断のため、5ミリ位の厚さに組織を切ります。
腫瘍の部分を写真で撮り、電子カルテへ保存したり、どの部分を重点的に見て欲しいかなど、病理の先生に情報を提供します。


その際、使用するのが撮影台です。

ライトがLEDにかわりました。
写真のように、真ん中には、ブルーの透明板を引いています。

両サイドからLED(白)の照明を当てます。カメラを装着して、真ん中に標本を置いて撮影します。

ブルーの透明板を外して、ホワイトをバックに撮影します。

写真の写りですが、ブルーよりもホワイトの方が、辺縁がにじまない、クリアーな写真になりました。

LEDの撮影台のいいところは、従来のハロゲンランプと比較して、熱くないこと。
半袖で仕事をしていると、『あちっ!!』ということがよくありました。


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