はじめに
みなさん、”びわいち”といって、何を想像されるでしょうか。
誰が言い出したのかは知りませんが、びわ湖一周のことを略して”びわいち”と言っています。今回、びわ湖一周のサイクリングにチャレンジして参りましたので報告いたします。
私は、今年で、45歳になります。四捨五入すると50歳、アラフォーからアラフィフへ、人生の転換(?)となる年齢であります。この年に、今まで、自分がした事ないもの、周りの人もしてなさそうなこと、がんばれば出来そうなこと、そんなことにチャレンジしたいと考えました。
そこで”びわいち”にチャレンジしました。一人で計画しても良いのですが、サイクリング中、定期的に休憩のサービスが得られること、他にも大勢走っている中で、ペースがつかみやすそうだったことから、「びわ湖一周ロングライド2012」という大会に参加しました。長浜を出発し、反時計回りにびわ湖大橋から北のびわ湖(北湖)を回る大会で、公式距離は148kmです。自転車再開歴1年3ヶ月(子供の頃は毎日乗ってましたが…)でありますが、京都ー木津の40kmは乗っていたし、”がんばればできそう”な目標となりました。
大学生の頃は、びわ湖一周をバイクで行きました。これはこれで、一日がかりのイベントでした。当時は道路の整備も進んでなく、湖東の湖岸道路なんかは、橋が架かってない川もあり、大きく迂回したことも覚えています。
ネットでエントリーを済ませ、参加登録証が送られてきたのは1週間前でした。私は第2グループ、6時25分スタートになりました。当日は朝4時に起床、ついてすぐに乗れるようにサイクリング着に着替えて、出発しました(もちろん自家用車でですよ)。現地の駐車場には5時45分ころに到着しました。スタート地点まで3kmくらい、ウォーミングアップをかねて走っていると、反対車線を自転車の一列が過ぎ去って行きました。第1グループは出発、もう大会は始まっているんだと思うと、少し胸が高鳴ってきました。
エントリーを済ませ、背中に2104のゼッケンを付け、スタート地点へゆっくり進みました。20台くらいずつ、時間を空けてのスタートです。私の隣には、小学生と思しき男の子が、父・母らしき人にはさまってスタートを待っています。「この子にも負けるんかな…」と思いがよぎりましたが、「これはレースではない」のです。マイペースです。
当日の天気は曇り模様。われわれのスタート時には、少し雲が切れて対岸の比良山系が見えました。「いってらっしゃーい!!」との声援に押され、6時35分の出発でありました。集団のなか、少しずつ抜かれて行きます。やっぱり皆さん、軽いですね。
私の目標は、無事故・完走・平均20km/hの3つです。無事故・完走は当たり前の目標なのですが、平均20km/hを維持できるかが、この大会を完走できる鍵と思って設定したものです。150kmで一周であれば、20km/hで走ると、走行時間だけで7時間30分になります。途中の休憩を4カ所で1時間30分とすると、合計9時間となり、15時30分のゴールと予想できます。大会の完走の規定は16時50分ですから、1時間の余裕で完走できるとふんだ訳であります。
第1セッションは順調な走行でした。自分のペースとしては少し早い目の24-26km/hのペースで引っ張られました。スタートから20kmくらいのところ、信号待ちで止まろうとした時のこと、前輪が重い…。いやな予感は当たりました。そう、 パンクです。信号を曲がり、橋の上でパンクの修理です。小さい頃からやってましたから、チューブの入れ替えはお手の物…のハズだったのですが、タイヤを入れる時にチューブを挟み、新品のチューブは穴空きの状態になってしまいました。もう一本持ってきていましたので、今度は落ち着いて…と思っても、無理矢理タイヤをはめ込んだものですから、やはり、空気が入らない…。まさか、二本とも失敗するとは思ってませんでしたからあせります。第3グループの人もどんどん追い越して行かれるし、「スタートから1時間、こんなところでリタイヤ??」という思いが頭をかすめました。
大会本部へ電話で連絡すると、修理スタッフが2km先にいるので、レスキューに来てくれるとのこと、これで救われました。橋の上で待つこと10分くらいでしょうか。白いワゴン車でさっそうと(?)やって来てくれました。パンクしたこと、修理に失敗したこと、恥ずかしいけどすべて正直に話し、チューブ交換の仕方、タイヤのはめ方、しっかり見せていただき、予備のチューブもいただき、ありがとうございました。再発進できました。
また、もう一台の白いワゴン車がありまして、「回収車」と名札付きです。「回収車」のお兄さんが言うには、「たぶん最後尾ですわぁ」「時間内にチェックポイントを通過できない場合はこれに詰め込むんです…」と、怖いことをおっしゃいます。「大丈夫、がんばってください」の一言で、再スタードがきれました。ありがとうございました。
さて、「回収車」が後ろを走ってくる雰囲気・水をはねる音のプレッシャーに押されつつ、少し早いペースで進みました。
春 湖 岸 ゆ っ く り 走 る ひ と り 旅
俳句?なども思いつく余裕も出てきました。第1エイドステーション「道の駅あぢかまの里」の手前、ゆっくりの下りのところで、おじいさんを追い越しましたので、最下位から脱出でありました。
第1エイドステーション「道の駅あぢかまの里」(27.3km)
びわ湖一周ロングライド2012には、スタート地点以外に4カ所のエイドステーションがもうけられています。このエイドステーションの中にチェックポイントがもうけられ、背中のゼッケン番号のチェックと、通過の印に黄色のシールをヘルメットにはってもらいます。このシールがないと、完走と認められないようになっています。
ぎりぎりの到着だったので、みんなが食べた後で残ってないかも…と心配しましたが、たくさん残っていました。おにぎり、みそ汁、パンなど、山盛りで残っていました。こんなにあるなら、次の第2エイドステーションでも余っているかなと思いました。おにぎり一つ、みそ汁をいただき、「これで最終です」と先ほどの回収車のお兄さんが到着しました。乗せられてはかなわん…と思い、そそくさと第1エイドステーションを後にしました。
岩熊トンネルへ上る直前は、とてつもなく急な坂道となっています。「こんなルート選ばんといて…」と恨みながら、一番軽いギアで何とか上りきりました。岩熊トンネル(780m)は歩道を通行です。トンネル内の点灯を呼びかけるスタッフの方、おつかれさまです。トンネルを抜け、ゆるりと下り坂をおりると、奥琵琶湖の湖岸を走る景色のいい道路の走行です。曇り空は変わりないですが、びわ湖は一番澄んでいて、きれいな水でした。
びわ湖の西岸を、湖沿いに南下します。この頃から、お尻の負担が強くなりました。立ちこぎしてお尻を休めないと、ちょっとつらいことがありました。道の駅しんあさひ風車村を通過し、びわ湖こどもの国へ到着いたしました。
第2エイドステーション「びわ湖こどもの国」(61.6km)
スタートからおよそ60kmの第2チェックポイントへ到着しました。自転車を降りると、足が動きません。自分の足ではないような感覚です。しっかりと地に足をつけ、屈伸したり、ストレッチしたり、何とか歩けるようになりました。かなり、足に来ていることは分かりました。「しっかりと栄養補給しよう」と思ったのですが、おにぎりがなかったです。お腹がすいている訳ではないのですが、これで次までもつのか?ゆでたまごがたくさんありましたので、2個いただき、塩をかけていただきました。ゴーフルのようなお菓子もいただきました。ドリンクの補給は、自動販売機でアクエリアスを購入して、ボトルへ詰め替えました。
今から思うと、ここが一番きつい時でした。足のストレッチを十分に行い、再スタートを切りました。旧市街地の細い道を通ります。休みを入れたことでお尻の負担は大分ましになっていました。しかし、足の疲労の回復は簡単にはいきません。筋肉痛も出てきて、乳酸をためないよう、回して行くしかありません。自転車をこぐとは言いますが、ペダルを回すと言う方が正しいです。毎分80回くらいで回転させるのが最も効率よいと言われています。
第3セッションは近江高島で沿道の方々に声援をいただきました。このあと、国道161号へ合流となります。車の通行が多いので、端っこを一列で走ります。近江舞子のあたりで、国道からはなれ、JR湖西線の高架の下を進みます。志賀駅で再度国道に合流しますが、この短い坂道がこのセッションの最大の難所でありました。
この後は国道161号をさらに南下します。蓬莱・和爾・小野と駅をすぎ、堅田の手前がびわ湖大橋です。
第3エイドステーション「びわ湖大橋米プラザ」(93.4km)
第3エイドステーションへ到着しました。ここでは、多くの人が休憩中でした。足はかなりの疲労がたまっていました。チェックポイントでしっかりと歩き、シールをいただきました。近江米のおにぎり、しじみのみそ汁、お茶をいただきました。
この糖分補給がききました。30分くらい休み、ストレッチして、次のセッションへ挑みます。一日で90km以上のロングライドは未知の世界になります。木津ー嵐山の往復で90kmですから、本来ならこれでサイクリング終了となるはずです。全体の60%終了とはいえ、湖東の湖岸道路を北上する残り60kmを意識せずにはいられませんでした。
最初の関門は、”びわ湖大橋”です。この橋、こんなに急坂だったか?と思うからの急坂です。ギアを一番軽くして、力のはいらない足を”回し”ます。頂上を超えての下り坂は楽ちんでした。びわ湖大橋は片側2車線になっています。追い越し車線には、溝が切ってあって、自動車で通過すると、「遠き山に日は落ちて…」のメロディーがなるようになっています。制限速度で走ると、ちょうど良いメロディーになり、スピード超過を抑制する工夫がなされているようです。
びわ湖大橋は歩道を通過しました。料金は無料でありました。その後は、車の通行量の多い湖岸道路を北上して行きます。近江八幡市の野球場(学生時代に慈恵医大との対抗戦で使用しました)を横目に、湖を見ながらさらに進みます。本大会の一番の難所の近江八幡国民休暇村へつづく海岸線へさしかかりました。上りがメインですが、時々下りといったレイアウトで、いつ終わるとも知れないワインディングロードが続きましたが、足をつくことなく、何とか上りきりました。
ここを下れば後はほとんど平地のはず、がんばって自転車を進めました。ところが、思わぬ伏兵(?)というか、上り坂がありました。日本一のびわ湖ですから、流れ込む川も多数あります。川にかかる橋を渡るということは、土手の高さまで”上り”がある訳で、それが川の数だけある訳で、予想しなかったアップダウンに苦戦しました。
第4エイドステーション「湖岸緑地南三ツ谷公園」(124.7km)
ここが最終のチェックポイントになりました。お尻の痛み、足の疲労はピークでした。スタッフのお姉さん、「ゴールまで後23キロです」とアナウンスをしていました。「最終セッションは短いんや…」というのがせめてもの救いでした。近江牛コロッケ(大人気で行列ができていました)と糖分の補給にバナナをもらいました。
呼吸も落ち着き、最後のストレッチを行い、水分の補給を行い、のこりの23kmへスタートを切りました。湖岸をまっすぐ北上しました。川もいくつか超えました。彦根市内、そういえばS村先生は彦根出身だったわと思いながらの彦根通過となりました。
びわ湖の際の道路になりました。小雨で路面はぬれていました。左へ大きく曲がった湖岸で、遥か彼方に豊公園の長浜城の影が見えました。「あんなとこまで行くんかいな…」と、目標が見えて、ますます遠く感じるという、精神的に苦しい時間帯でした。残り6kmの標識を超え、いよいよ最後の交差点、スタッフのお姉さんに「あと少しがんばって下さい」との声援で元気100倍となりました。ありがとうございました。ゴール直前の信号で少し自転車の密度が上がりました。豊公園にはいり、スタート地点=ゴール地点へ戻ってきました。アナウンサーの「おかえりなさい!!」の声と、ハイタッチで、無事、私の”びわいち”は終わりました。
無事に完走できました。長かったです。一人で行かずに大会へ参加してよかったです。参加賞と完走の賞状をいただき、駐車場までの残り3kmをゆっくりと走ったのでありました。
iPhone用アプリのCyclemeterで記録した
今大会の記録です。
走行時間7時間35分、停止時間1時間49分、距離151.2km、平均時速19.9km/h。
消費カロリーは5389kcal。
完走した証明に認定証をいただきました。
雨で少し湿ってしまいましたが宝物です。
あとがき
本大会に参加してよかったです。エイドステーションのスタッフの方々、補給をありがとうございました。トンネル、交差点、信号で交通整理をしていただいたスタッフの方々、ありがとうございました。大会運営をしていただいたスタッフの方々、ありがとうございました。パンクを修理していただいたスタッフのお兄さん、回収車のお兄さん、リタイヤせずに走りました、ありがとうございました。そして、一緒に走っていただいた方々、ありがとうございました。
お昼頃に電車で長浜へきて、長浜市内を散策していた妻、次女へ。次回はもう少し早く来てください(ハイタッチできるかと期待していた…)。おみやげの長浜バーガーはうまかった。
デジカメは必須です。iPhoneではてぶくろ越しに操作できなかった。写真が一枚もないブログになってしまいました。
体重、前日の晩と比べて1.5kgの減でした。これからは、日々の積み重ねを目指して行きます。